苦しく辛い恋だとしても。



「えっ…悪ぃ」


咄嗟に掴んでいた手を離したけど、何が痛かったんだ?


もう一度椎名の手を見る



「……お前…これどうしたんだよ」



いつもより低い声が出た



反射的に手首を掴んで、俺と椎名の視界に絆創膏がうつった



「猫に噛まれただけだよ!心配しすぎ!」



そう言うお前だけど、どうみても赤い血が滲んでるし、触っただけでも痛そうだ



「これ、誰に貼ってもらった?」



「え?」



「お前じゃ、こんな綺麗に貼れないだろ」


「なっ失礼な!」


「で、誰だよ?」



「隼斗だよ。知ってる?王見隼斗」



まただ……



どうしようもない苛立ちがまた俺を襲う



俺は何にイラついてるんだ?



「誠也……?」


黙ってる俺をみて心配したのか、俺に触れようとする椎名



俺はその手を優しく掴む



「ごめん……」



「…え?」



「俺のせいで……お前が傷ついたっ……。助けてもやれなかった……。ごめん……」



「女子に叩かれた時……誠也に助けてって言いたかったっ……」



「……っ椎名…」



「男子に連れ込まれた時も…ほんとは怖くてっ…誠也に縋りたかった…」



苦しそうに胸を抑えて話す椎名に、胸が締め付けられた



俺はこんなにも椎名を傷つけていたんだ



「だけど…最初に誠也は…鬱陶しい女は嫌いって言った……」


初めて椎名と話した時を思い出す



確かにそうハッキリ言った




「もし私が誠也に助けを求めたりなんてしたらっ…誠也は私の事を嫌うでしょうっ…?」



「俺はっ…」