こんな傷、あいつのに比べれば全然だな……


簡単に終わらせ、グラウンドに戻ると俺の幼なじみ、碧が俺を待っていた


「遅かったな」


「あーちょっとな」



「……彩ちゃんか?」


「…は?」


「あれ?知らない?彩ちゃん今日も呼び出されたのかと思って。でもついに叩かれたんだ、可哀想」



真剣に俺の目を見て言ってくる碧



碧が何を言っているのか、理解が追いつかない



「お前、何言ってんの…?」



「誠也マジで知らないの?彩ちゃんがいつもお前のファンに呼び出されてるってこと」



……俺のファン?……呼び出し?



「そいつらに呼び出されて、まあ彩ちゃんの事だから反抗したんだろうな。それで1発くらったんだ」



1発くらった……?叩かれた……?



「じゃあ、あの赤い傷は……」



「叩かれた時に出来たんだろうね。それにしても彩ちゃん言わなかったんだ」



「……っなんで碧が知ってんだよ?」



「いつも優奈と一緒にいるし。どうみても様子可笑しいし。誰でも気付くだろう」



「……くそっ…」



俺があいつの1番近くにいたのに



1番ちゃんと見ていたはずなのに



お前は俺の知らないとこで沢山傷ついていたんだ



ごめん……椎名っ……



「とりあえず、俺が誠也に言ったってことは無しにしとくから。彩ちゃん隠したいっぽいし。だけど誠也……」



“これからはもっとちゃんと見とけよ”



碧からこんなに言われる日が来るなんてな



それからはよく椎名を見るようになった



あいつに何か起こる前に、俺が防ぐ



だけどさっそく起きてんじゃねぇかよ