〜誠也side〜



ほんとに、冷たい態度しか出来ない自分に、嫌気が刺した


吐き気がした



どうして、大事な人ほど苦しませてしまうんだろう、何回もそう思った



ごめん……椎名……



ほんとにくだらないことから仲良くなった俺たち



椎名は俺にとって唯一心休まる場所だった



あいつは他の女みたいに媚びらないし、俺の本来の姿を見てくれてる



あいつは俺を変な目で見てきたりしない



そう……“恋に酔った女の目”なんてしていない



そんな俺の偏見が、あいつを余計苦しませていたのかもしれない



最近ずっと後悔していること



保健室で起こった事だ


部活で軽く膝を擦りむいて絆創膏を貰おうと保健室に行った


そしたら椎名がいたんだ


声をかけたら慌てて頬を抑えるから、何かあるなって思った



退かせば、痛々しい赤色に染まっていた頬



本人は電柱に当たったって言って、俺もそれを信じてただただ湿布を貼った



早く治れっていう意味を込めて頭を軽く撫でたらいきなり顔を歪めたあいつ



唇を横に結んで、まるで泣くまいという顔



だけど椎名の顔には一滴の涙がちゃんと流れていた



どうして俺はあんなことを言ったんだろう



自分が弱いせいで、大切なやつを傷つける俺が嫌い



走り去るように俺の前から消えたあいつ



俺は……何をしてるんだ



椎名への罪悪感を抱えながら自分の膝の手当をした