『もう、今すぐ行かないといけないのよ、ごめんなさい』

『はや!?』

『湧、2人のこと頼んだわよ?』
俺に2人を託して母さんはでっかい鞄を持って家を出て行ってしまった

『湧兄さん!けーいーこー!』
はしゃぐようにため息をつき、返事をした

『楓、着替えてこよう』


『……………』
しかめっ面の楓を抱き上げて階段を上る



『何でお母さんと父さんはお仕事ばっかりなの?』
ほっぺをパンパンに膨らませたふうは不満げにいった

『楓とたくさん遊ぶ時間を作るためだよ』
なるべく、誤解を与えないようにいう

『じゃあ、ふうとたくさん遊んでくれるの?』

『そうだよ、だから、我慢して兄ちゃんたちとお留守番な?』

『……うん…』
まだ、納得していないようだったが、ひとまずほっとする

『兄さぁ~ん!稽古!』
今すぐにでも部屋に入ってきそうな勢いの燿に苦笑する

『楓もやる?』
ちょっとだけ表情の戻った楓は頷いた