アネモネになった少女


椅子に腰をおろすと、女の人が話し始める。

「私たち、自己紹介してないわよね!私は杉本 紫亜(すぎもと しあん)って言います。こっち杉本斗真(すぎもと とうま)。あたし達は同い年で2人とも31歳。気軽になんでも話して頂戴ね、
私たちに気を使うことないから」

紫亜は笑顔で話しかけてくれた。私を気づかってくれている。

「はい。ありがとうございます」

「仁奈ちゃんは施設には長いの?」

「いいえ、私は15から入っています。本当は自分の年齢も分からないんです。」

「それはどうして?」

「私には、施設に来る前の記憶がないからです。」

そう言っても2人は驚かなかった。不思議な人達。

今まで過ごしてきたことや自分の置かれてる状況全て話した。これから家族になるのだから当然のことだと思ったからだ。

「将来をどう生きていきたいと思ってる?」

「自分の夢や、やるべき事をみつけてそれに向かっていきたいです。成し遂げられた時は支えてくれた人に恩返しをしたいです。」


「そんなにかしこまらなくていいんだよ。たくさん話してくれてありがとう。今度は私たちの番ね。」


そしてゆっくりと彼女は話始めた。