それから彼女は淡々と話し始める。
「私たち、あなたぐらいの年齢の子を探していたの。来年から大学に入学が決まっている子ね
。何故かと言うと本当はみんな赤子からの子欲しがるだろうけれど、どの子が頭のいい子かなんてわからないし、どんな子に育つのかも分からないからねぇ。そしたら、あなたを見つけたの。あなた、F大に入るんでしょう?すごいじゃない!将来楽しみだわぁ!」
ああ、この人たちは私じゃなくて頭のいい子がただ欲しいだけなんだ。
そんなの願い下げだね。
「……そうですか。」
こんな茶番はもう付き合ってられないね。早々とお帰りいただこう。
そう口を開いたが、、、
今までくちを閉ざしていた斗真が話始めた。
「おい、それじゃ誰でもいいみたいになるだろ。違うだろうが。」
「ハッ、ごめんなさい!そんなつもりじゃなかったのに……」
「仁奈。俺はお前の両親を知ってる。」
え?
「両親について教えてやりたいが、今はまだ話せねぇ。もし、良かったら俺らと一緒に暮らさないか?頼まれてる事があるんだ。」
嘘に決まってる。私の事知らないはずなのに?
「お前のことも知ってるし、お前にもあった事がある。」
「じゃあ私の本当の名は……」
ガチャ
背後から扉の音がした。
