「お、そちらが例の……」
こちらへ向いた視線に、私は背筋を伸ばして頭を下げた。
「はじめまして、由岐先生……徹也さんとお付き合いさせていただいております、荻野美浜と申します。これ、つまらないものですが」
「美浜ちゃん、ね。かわいらしい娘さんねぇ~」
「わざわざすまないね、お気遣いありがとう」
ご両親は差し出した袋を受け取り、にこにこと優しい笑みを見せる。
「確かうちの小児科で働いてるんでしたっけ」
「はい。クラークとして勤務させていただいております」
「はは、そんな硬くならずに」
由岐先生のお父さんはあははと声をあげ笑った。
由岐先生のご両親とは思えないほど穏やか……!
てっきり見定められるとばかり思っていただけに、拍子抜けしてしまう。
「急にごめんなさいね。徹也に彼女ができた、なんて噂を聞いたらどんな子なのかどうしても気になっちゃって」
「けど俺たちがいきなり小児科まで行ったら何事かと思われて大騒ぎになっちゃうもんなぁ」
笑って言う由岐先生のお父さんに、確かに『院長夫婦がいきなり小児科病棟に来た』となるとみんな騒然としてしまうかもしれない。
想像して苦笑いをしながら、私は由岐先生へ小声で言う。
「あの、ずいぶんイメージと違うんですが……」
「言っただろ、気遣わなくていいって。そういうの気にするタイプじゃないんだって」
言ってたけど……あまりにも予想外すぎる。



