「お、フロ出たか。ちゃんと温まったか?」
「あうー!」
由岐先生は一度フライパンを置くと、まだ少し濡れたままの頼の髪をタオルで軽く拭う。
「すみません、食事の用意まで。それくらい私がやりますよ」
「いや、いい。せっかくだし頼とゆっくりしてろ……と言いたいところだけど、頼の食事がわからなくてな。頼はなにが食べられる?」
「えっと、特に好きなのがそぼろご飯で……」
話しながら由岐先生は冷蔵庫をあけた。
つられて中をのぞくと、そこには野菜や肉などの食材から飲み物までさまざまなものが揃っている。
「意外です。自炊するんですね」
「あぁ。といっても習慣づいたのは海外に行ってからだな」
「海外行くと日本食が恋しくなるって言いますもんね」
けれど自分で作るしかない、ということから自炊を身につけたのだろう。
由岐先生は冷蔵庫の中身を少し見て、メニューを決めると手早く料理にとりかかった。
そして30分が経つ頃には、リビングのローテーブルの上にはいくつかのお皿が並んでいた。
頼用に作ってくれた、そぼろごはんと野菜のみじん切り入りのたまごやき。そして私たち用のごはんとお味噌汁と天ぷらという豪華なメニューに、つい見惚れてしまう。
すごい、天ぷらも綺麗にあがっているしお味噌汁もいい香り。
ここ数年で身につけたとは思えないほどだ。
「いただきます」
頼とともに手を合わせてから食事を始める。
炊き立てのごはんに出汁をとったお味噌、サクサクの天ぷら……どれもひと口目からおいしさが広がった。



