「あはは、ごめん。ちょっと酔っ払っちゃったから途中で抜けたんだ。それより鏡花ちゃんはいい出会いあった?」

「それが、あったの!うちの内科の先生だったんだけど……」



鏡花ちゃんの昨夜の話を聞きながら、昨夜のうちにデスクに置かれていた資料を手に取り確認する。

するとその中に一部、数ヶ月に一度発行される院内報があることに気づいた。



なにげなくそれをパラパラとめくり流し読みしていると、あるページに掲載された顔写真が目に留まった。


それは、黒い髪に青のスクラブ姿の由岐先生だ。

その顔写真の下には『外科医 由岐徹也(てつや)』の文字がある。



由岐徹也、っていうんだ。

顔を見ただけで昨夜のことを思い出し、胸がときめくのを感じる。

そんな私の様子に、鏡花ちゃんは不思議そうに院内報を覗き込んだ。



「あ、今回の院内報に由岐先生載ってるんだ。相変わらず綺麗な顔してるよね」

「えっ、鏡花ちゃん由岐先生のこと知ってるの?」

「もちろん。外科医のエースでうちの院長の息子だよ?」

「え!?」



い、院長の息子!?

驚き、今更ながらこの病院の院長の名前を調べると、そこには『由岐誠一(せいいち)』と書かれている。

同じ苗字……本当だ。これまで全く気が付かなかった。