突然、視界が開けた。
路地裏を抜けたらしい。
そこは、港のような開けた場所で、潮の香りが一気に強くなる。
(ーー海…?)
水平線に消えかかっている夕陽が、海を淡くオレンジに染めていた。
そして、私の手を引いていた彼が、こちらを振り向く。
黒色の髪に、日によく焼けた褐色の肌、それに灰色がかった瞳の色。
「ーーハァ…って大丈夫かお前。死にそうな顔してるぞ」
スラリとした長身の彼が私の顔を覗き込んだ瞬間、ぐらりと視界が揺れた。
(ーーう、吐きそう)
「え?あ、おい!」
焦る彼の声を最後に、私は意識を手放した。
