顔も知らない君に綴る

雲一つない晴天の中、幼少期の私は一人で絵本を読んでいた。

「おもしろいなぁ、このえほん。」

ベットの少し上の名札には【遠藤咲】という名前。

私は入院をしていた。

産まれてからずっと病院にいる私は友達がおらず、部屋から出るのにも誰かいなければならなかった。

「咲ちゃん、お手紙だよ。」

看護婦さんがお手紙を持って部屋へきた。

「おてがみ?」

困惑しながらもそれを受け取り、両親からだろうかと心を踊らせる。

《はじめまして。》

たった一言の手紙が6歳の頃、送られてきた。

「おねえさん!このおてがみ、なに?」

子供ながらの舌っ足らずな声で、渡してきてくれた看護婦さんに聞く。

「それはね、同じような病気のお友達が送ってくれたのよ。」

そう笑顔で言った。

「そうなの?うれしいな!」

初めて貰ったお手紙が、とてつもなく嬉しかったのを今でも覚えてる。

「わたしもおへんじかく!」

上手に書けない文字で頑張って返事を書く。

「できたー!」

《はじめまして!》

またその一言。

それでも、送って貰った。

そしてそこから始まった文通は16歳になった今でも続いている。

これは私の人生記。

顔を知らない君へと送る、愛の手記だ。