真っ暗な中、何か光が見えた。

「あ…女の子だ…」

僕はぼんやりしながら思った。

光の中、長い髪をなびかせて、白い服を身に纏って…僕の方にその光が近づいてきて…

そこで目が覚めた。

「…夢か…」

続きが見たくなる夢…あの子はどんな顔をしていて、何者で、あのとき僕に気づいたんだろうか?だとしたら話ができたんだろうか?

ボーッとそんなこと考えながら、学校に行く支度。


「あの子は誰だろう…。」

そんなこと思いながらボーッと歩いていたら、いきなり目の前に見知った顔が現れた。

「またボーッとしてんの?」

ポニーテールの頭を傾げて僕を見ている。

「あ、双見…」

「魚住はいっつもボーッとしてる~!しっかりしなよ!」

ケラケラと元気良く笑う。

クラスメートの双見だ。
僕はちょっと苦手…。学年でも人気があるし、明るくてみんなと仲良くできて、僕には少し近づきがたい…でも、せっかくしゃべってくれているし…

「夢、みてさ…」

「え、どんな夢??」

あ、言わなきゃよかったかなぁ…

双見は楽しげに声を弾ませて僕に聞き返す。

「お、女の子がいて…」

「女の子?どんな??」

「え、え~と…髪が長くてワンピース?着て…」

僕はしどろもどろ。双見はさらに首を傾げる。

「??どこにいたの?」

「え…光のなか…」

「で!?」

「…たぶん、それしか覚えて無いんだ…。」

双見が、また笑った…

「魚住らしいね!すっごい抽象的な夢!!あ、その子が好みだったんでしょ!?」

「顔は見えなかったんだよ。」

その子が双見だったら…なんだろう、雰囲気が合わないというか…

「前にも何か見たって言ってたよね、変わった夢!確か…あ、箱から本が飛び出した、とかって…」

…おとなしそうな格好していたしな…妖精、とか、天使、とか、変化球だと異星人、とか…?

「またボーッとしてる!」

「あ…」

また僕は一人で女の子のことを考えてた…

「遅れるよ~!」

双見は笑って行ってしまった。
僕も少しだけ急いで教室に向かった。