夜、目が覚めた。時計の針は午前三時過ぎを指している。ゆっくりとベッドから体を起こすと、生温い夏の夜風が頬を撫でた。見ると、寝る前に閉めたはずの窓が開いている。
…何だ?
違和感があったが、寝ぼけた頭で考えていても仕方がない。眠い目を擦りながら窓へ手を延ばす。
「───え…」
すると、暗い窓ガラスに映ったのは、月明かりに照らされた自分の顔と…血みどろになった部屋だった。
一瞬、息が止まったかと思った。
床に無惨に転がっているのは家族だ。見慣れたカーテン、見慣れた机に見慣れた本棚。…ここは間違いなく自分の部屋。
「───っ」
叫び出しそうになった瞬間…もう一度目が覚めた。また、ベッドの上。しかし、窓は閉まっていて、辺りには血の一滴も見当たらない。
…夢。
「なんなんだ一体…」
額に滲んだ脂汗を拭って、深いため息を吐いた。
「…片付けてなかったかと思ったよ。」