カラー×カラー×カラー ~Cruzar Another story 2/5~

男は降参とばかりに両手を上げた。

「おじ様、少し前から感情が読めなくなったの。多分、他に仲間がいると思う。」

「分かった。直ぐ場所を移そう。」

大塚のおじ様が男の腕を掴もうとした時、男に異変が起こった。

「ぐあ"っ!」

上げていた男の手の先が、本来曲がるはずのない方向へ折れ曲がったのだ。

「な"ん"で!俺を"ー!」

男が苦痛の声を上げるのと同時に、骨の砕ける音が手の先から足先に広がっていく。

"それ"は見るからに明らかだった。

男は全身を何ヵ所も屈折していた。

異様な光景だった。

そして、その場にグシャリと音をたて崩れ落ちた。





駅にいた人たちは異変に気付き、悲鳴を上げて縦横無尽に逃げていく。

「凛!」

おじ様は呆然とする私を抱え、影になる柱の後ろへと走り込み身を隠した。