それから、ここに来る前に寄った、この事件に関係のある老人ホームと猟奇殺人事件現場2つ。

特に、猟奇殺人の2つは犯人の中身…感情が全部出ちゃったって感じの現場だった。

感情が爆発してた。


「大丈夫ですよ。血がそのままでも全てが同じ色にしか見えない私には、注意して見ない限り血かそうじゃない物かは殆んど判別出来ませんから。」

「でも、匂いとかはするじゃないですか。」

「あー私、血の匂いは分からないんです。」

「あっ…そうでしたね。」

分からなくなったのは、まだ色の識別が出来きていた頃。
バスタブいっぱいに血が広がって、お風呂場に溢れる程の血の匂いを嗅いでから…

「さ、亜木さん、帰りましょう。」

「じゃあ私、車ロータリーにまわしてきますから、凛さんはここで待っていて下さい。」と、亜木さんが東口に足を向けた。

「亜木さん。そっちじゃないですよ、あっちです。」

呼び止めて、私は西口を指差す。

「あはっ、すみません。かなりの方向音痴なんですよ。」

亜木さんは照れながら謝る。

「知ってますよ。私、道覚えるのは得意なので任せて下さい。」