「あら?もしかして彩依凛ちゃんじゃない?」



声がした方に目を向ければ、そこには30代くらいの綺麗な女の人が立っていた。

その手には、綺麗なマニキュアをして。



誰?

なんで、私の昔の名前を知ってるの。


胸まである髪は緩く巻かれ、フェミニンなワンピースを来たその人は、目をきらきらさせ高揚しているようだった。

私に会えたことが嬉しいかのようだ。

彼女は私の方を真っ直ぐ見ているだけで、大きい動きがないから感情が分からない。

「私のこと覚えてないかしら?彩依凛ちゃんのママの友達で、よく家に遊びに行ったのだけど。」

マニキュアの綺麗な…

「あっ…、比梛さん?」

「良かったー!覚えててくれて!」

「ずっと、どうしてるか心配してたのよ。」

まさか、また比梛さんに会えるなんて思わなかった…

しかも、こんな多くの人が行き交う駅で。