『彩依凛ちゃんは、何色が好き?』

「青!」

『嫌いな色は?』

「赤!」

『何で、赤が嫌いなの?』

「あのね、あのね、赤は火とか血とかね、怖い色だから。」



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「凛さん、お仕事お疲れ様でした。」

そう言って、亜木さんは今しがた買ってきた冷えた赤いペットボトルをベンチで座って待っていた私に渡した。

ペットボトルは赤いが中身は水だ。


「今回の仕事、辛くなかったですか?
被害にあった人は全員運ばれてましたけど、血はそのままでしたし…」


今回の仕事は、ここ、北S駅で起きた無差別殺傷事件。