10年前の春。
俺が中学3年になった頃。

『今年の1年で可愛い子いるかな?』
『いるって噂だけど、どの子かさっぱりだよ。』
『那桜の妹って今年入学だっけ?何組?』
那『確か、1組だったかな。』
『今度紹介してよ!』
那『いいけど、目立ちたくない奴だから、嫌がる
 かもなぁ。』
『まじかぁ!』

休み時間に教室の窓からグランドを眺めて、1年の女子が体育の準備をしているのをみんなで見ていた。
思春期真っ只中の俺たち。
日々の会話は、女子の話やら変な話ばかり。
自分でも思うけど...男はバカだ。

はぁ...なんか面白いことないかなぁ...

うん??
あの子...

那『春瑠どした?』

春「いや...別に。」

那『可愛い子でもいた??(笑)』

春「ちげーって。」

那『へぇー!!!!』

『ほらー。席につけー。授業始めるぞ。』

席替えのたびに窓際の席を引き当ててきた俺。
みんなは、暑いし、寒いから嫌がるけど
俺は好きだった。

さっきの子どこだ?

いた...

黒髪のロングヘア、可愛らしくて、柔らかな雰囲気のある子。
可愛いなぁ...
なんて名前だろう...

外で授業がある日は授業中にも関わらず、ちらちらと窓の外を見て彼女を探していた。
移動教室で1年とすれ違う時は気にしてないフリをしつつ、探してた。

そんなある日、

『あのー、相澤那桜いますか?』

『えっ?君1年?』
『はい。』
『なーおー!お前に女の子のお客さん!』

俺は入り口の方に目をやった。
あっ!
あの子だ...
那桜に用ってどういうことだ??

那『え?美桜どうした?』

『なぁ、春瑠!あの子と那桜、どういう関係か
 な?』

春『小学校が一緒で知り合いとか?』

『彼女かも??』

彼女??
確かに、那桜は女子の話になると口数が減る。
彼女がらいたからか??
言ってくれればいいのに...

那『サンキューな!』

『おい、那桜!今の子とはどういう関係だよ?』
 
那『別にいいだろ。』

『ジャージ貸してたの??まじか!』

やっぱり彼女なのか...

親友の彼女だけど
やっぱり気になっている自分。
自分の気持ちと葛藤しながら過ごしていた。