フィオナたちがエリート校で潜入捜査を始めて二週間ほどが経った。それぞれ怪しいと思う人物と接触し、薬物事件に関与していないかどうか監視する。

フィオナ、エヴァン、レイモンドの服には小型カメラと盗聴器が仕掛けられており、その映像や音声を特殊捜査チームの部屋にいるシオン、サルビア、アルミン、レティシア、フリージアが見たり聞いたりしているのだ。

音楽教師であるローズを監視しているフィオナは、腕を怪我をしたローズのために荷物を持って廊下を歩く。

「ごめんなさいね、重い荷物持たせちゃって。臨時教師がすることじゃないのに……」

「いえ、問題ありません」

無表情なフィオナに対し、ローズはニコニコと笑顔で話す。まるでエヴァンのようだとフィオナは思った。

「もうすぐ合唱祭だっていうのに、手を事故で怪我しちゃうなんてついてないわ。ピアノが弾けなくなるから、生徒みんなの練習に付き合ってあげられないって思っていたけど、フィオナ先生が来てくれてよかった〜。ピアノ、私より上手でびっくりしちゃったわ」