その名前を聞いた刹那、「先生!?」とレイモンドが驚いた声を出す。その瞳が大きく揺れたことを、フィオナは見逃さなかった。

ゆっくりとドアが開き、グレーの髪に紫の目をした五十代ほどの男性が姿を見せる。その姿を目にした刹那、レイモンドが「先生……」と幼い子どもが母親を呼ぶような顔を見せる。

「久しぶりだね、レイモンド。君が精神科医になったと噂で聞いてはいたけど、こんなところで会えるなんて思ってなかったよ」

アルミンはそう言い、微笑む。レイモンドは瞳を潤ませながら微笑み、「先生、お久しぶりです」と返した。

この人は、レイモンドにとって大切な人。フィオナだけでなく、部屋にいる全員が理解した。