──冬の復習──


今は12月。調査は行き詰まってしまい、それ以上は調べなくなってしまった。
奏「どうしよう…どうしよう……」
こればかりだ。ただただどうしようとしか言えない僕に、これ以上何が出来るのだろうか。それは、考えても僕の頭では出てこなかった。
奏「もう、ダメなのかな」

数日後

水香の様子がおかしい。目をパチパチさせたり、授業中ボーっとしてたり、目が充血?と言うか、赤くなってる時がある。やはり何かあるのだろう。
奏「ねぇ!すいk」
水「何」
奏「え…?」
水「あ、あれ?どうしたの?急に…」
奏「ぼ、僕声掛けたよ?」
水「え!嘘!ごめん!気づいてなかったの!それで?何か用?」
奏「いや、最近疲れてるふうに見えるからちゃんと休んでねって言おうとしただけ!気にしなくていいよ」
水「そっか!心配かけてごめんね!」
タタタタタタタ
奏「………はぁ…」
僕の思った通りだった。あの目は充血していたんじゃなくて、変わったんだ。一瞬だけど、違う人格の水香が目に出ている。

放課後

それは、突然の事だった。僕が清と一緒に帰っているときだった。

清「さっっむいな〜」
奏「僕は好きだよ。冬」
すると、路地から黒いモヤのような物が出てきていた。
奏「ねえ…この煙何…?」
清「まさか火事か!?」
僕達は走ってモヤの出処に向かった。そこにいたのは─

奏「なに…あれ」
清「水香……?」
水「……ねえ…何これ…怖いよ……」
清「…っ!!」
奏「清!!」
水「いあああぁぁあぁぁあぁぁ!!!」
水香の体からは、黒いモヤが吹き出していた。泣いていた。
清「おい!しっかりしろ!!」
徐々にモヤはなくなっていった。でも、そこには変わり果てた水香の姿があった。彼女は、真っ黒になっていた。
清「すっ…水香……?」
清が水香の肩を掴む。水香は返事をしない。顔は下を向いたまま、何かを話していた。
水「……せ」
清「?」
水「離せ」
清「え……」
水香の眼は、紅くなっていた。その真っ紅な眼で清を睨みつけた。
清「なんだよ………お前…奏緒これって…」
奏「…………うん」
水「…………ねえ…話したの…?」
心臓がギュッと締められるような感じがした。普段の水香からは感じられない威圧感と殺気で、僕は何も言えなかった。
水「話したんだ………嘘つき…やっぱり、人なんて信用出来ない。コソコソあたしの事探っちゃってさ。なんなの?そんなに知りたいの?あたしがこれからやること。」
清「お前は……何がしたいんだよ」
水「………言うと思ってんの?」
清「言わなくても止める。お前が戻るまで。」
水「………はあ…あんまり暴力はしたくないんだよね。」
奏「え?」
ドカッッ
清「っっっ!!?」
水香が、あの水香が清のお腹を膝蹴りした。いつもならそれを止める側なのに。今は─
水「わりぃな」
タッタッタッタッタッ
清「追いかけろ!!」
奏「でも清は!?」
清「気にすんな!!死ぬわけじゃねえんだ!」
奏「っ……」
僕は追いかけた。水香の後を、水香が止まるまで。でも、僕は見失ってしまった。危ない状況だ。
奏「ど、どこだ…………水香は……!」

うわあああああああ!!