──もう1つの宝石──


奏「え…?」
そこには、数人の女の子がいた。でも、3人くらいは怯えていて、1人は痣だらけ。そしてもう1人は、
奏「水香…?」
そこには、水香がいた。服は真っ黒に染まっていて、眼は紅くなっていた。そして何より、殺気を感じる。でも、どこかで見た。感じた。この感覚は、
奏(まさか、あの時の…?)
僕は最初、水香に助けてもらった事があった。思い返してみるとその時の服装は、真っ黒で眼も紅かった。そして僕も殺気を感じた。
奏(あの時の………でも、何でだ…?)
水香はあの時の事を覚えていなかった。あれほど怒っていたのに、覚えてなかった。しかも、その時の水香と今までの水香は性格も声のトーンも違った。ここまで違うと、ある説が浮かんだ。
奏(まさか…2重人格!?)
水「そこに誰かいるの!?」
奏(!?バレた!?)
水「…出てきて」
スッ
水「あ、あなたは…」
奏「…うん、僕だよ…久しぶり…かな?」
水「そうね…ちゃんと会うのは久しぶりかもね…」
女子A「だ、誰よ!?あんた!?」
女子B「もう2度とやらないから返して!!」
女子C「ごめんなさい……」
水「君達、そんな事で済むと思ってるの?バカみたいだな?そんなバカに教えてあげる」
ドンッッ!!!
女子A「ヒィッ!?」
水「人を傷つけることは、許されない行為なんだよ…ふざけ合ってるならまだしも一方的に殴ったり蹴ったりするのはふざけだなんて言えないんだよ常識的にさぁ!!!??」
女子A「あ…あぁ………」
水「これじゃあまだ帰せないから、君達がこの子にした事、君達にもしてやるよ」
女子A「いやぁっっっ!!」
奏「ちょっとまって!!」
ピタッ
水「何……?」
奏「それは……誰のために仕返ししてるの」
水「誰…の…ために…」
水香はしばらく考えていたが、答えは、
水「分からない…すぐに感情的になっちゃうから、そんなのどうでも良かったのかも知れない…それについては悪かったよ」
女子A「ほ、本当に……ごめんなさい……」
水「………まぁいっか…」
女の子「…痛い………」
女子B「あ…私!送っていくよ!自分がやった事だし…」
女子C「私も行く!」
女子A「あ、まって!!」
水「…今回は物分りがいい人で良かったな…」
奏「あ、ちょっとまってくれる?」
女子A「は、はい?」
奏「その〜充分わかってると思うけど〜もうやらないでね?ニコニコ」
女子A「は、はいぃ!!」
奏「そっか!でも、念の為言っておくけど〜」
トコトコトコトコ
奏「もしも次見かけたらただじゃあ済まねぇよ」
女子A「ヒ、ヒィィ!!」
タタタタタタタタ……
水「やるじゃんw」
奏「僕だって怒る時は怒るよ…?」
水「………何で分かったの…?」
奏「は?何が?」
水「あたしの事。本当は久しぶりじゃない癖に久しぶりだなんて言っちゃってさ」
奏「いつもと様子と容姿が全く違ったからね。分かっちゃったんだ…」
水「はぁ…バレちゃったな〜」
奏「まぁ、ちょっとビックリはしたけどねw」
水「……嫌じゃないの?いつもと全然違う、玖杏瑠璃水香は」
奏「なんで嫌になるのさ、むしろ僕は好きだよ。いつもの水香も今の水香も」
水「そうなんだ…」
奏「中身も好きだけど、僕は何より水香の眼が好きだよ。綺麗な紅色をしていて、宝石みたいだよ」
水「そんなに褒めたら…今のあたしだって照れるぞ……///フラれたのに諦めてないんだな?」
奏「あはは♪」
水「あたし帰んなきゃ…あ…そうそう」
奏「ん?」
水「この事は誰にも内緒だよ?特に清には1ミリも言わないで頂けると助かる」
奏「当たり前さ!僕は今までの人の秘密を喋ったことはないからね」
水「秘密を共有する人がいたのか今まで」
奏「あ…………いねぇ…」
水「あっはは♪じゃ、戻るわ。ちょっと倒れるかもしんない」
奏「は??今なんて…」
フラッ
奏「あ!!」
ガシッ
水「う……ん…?へ!!??」
奏「あ、いや!!これは違うんだ!!!」
水「あぇ!!?そうだよね!?私がちょっと気絶してたもんね!?こんな事気する必要なかったね!!!?」
奏「あ!?まぁそうだね!!?」
水奏「カァァァァァァァァァァァァ///////」
奏「ま、まぁ、帰ろっか」
水「そ、そうだね!帰ろ!」
その後、少々ギクシャクしながら家へ帰った。そして、僕は部屋で考え事をしていた。
奏(水香は元から2重人格者なのか?いや、でもそれだと皆に隠す必要はないな…もし元から2重人格だとしたらとっくに皆にバレているはずなんだ…だとしたらいつからだ…?僕が転校する前からだから…分からない…)
分からないのも当たり前。今年転校してきて、それより前の事を自分1人で考えるなんて無理に近い。でも、このままにしておくと大変なことになる気がした。
奏(昔から水香のこと知ってる人とかいるかな〜幼馴染とか……あ!前に確か、清と妹が水香と幼稚園からの幼馴染とか言ってたような…?)
僕は次の日早速、水香について聞くことにした。