──望んでいない再開──


今は11月。秋になって、学校の行事でキャンプへ行くことになった。今はその班決めの最中だ。
先生「皆ー男女混合だぞー」
クラスメイト「はーい」
水「取り敢えずこのメンツだよね」
晴「これ以外に何があるんだ」
清「最高の思い出にしようぜ!」
明「いぇーーーい!」
奏「やるからには楽しくだな!」
清「じゃあ役割決めようぜ!」
班の役割は、以下のようになった。

班長 金宮清
副班長 玖杏瑠璃水香
地図係 葵葉晴 猪原奏夜
保険衛生係 幸逆明日

キーンコーンカーンコーン

水「案外すぐ決まったね」
晴「争いはないに限るよ〜」
明「90%の確率で清が班長になってる気がする」
清「俺が頼られてるって事だな!!」
奏「うーーーーんちょっと違う気がする」

でもまさか、キャンプ場で"アイツ"と会うことになるなんて…

当日

清「全員揃ったかー!!!??」
明「声でかい!!」
水「はーい!」
晴「ういー」
奏「僕いるよ!」
隣のクラスの先生「では、昼食を作りましょう!昼食は、キャンプでお馴染みのカレーです!」
学年一同「いぇぇーーーい!!」
隣のクラスの先生「作り方は、調理実習でやった通りですが、何か分からないことがあったら先生や施設の人に聞いて下さい!では始めっ!」
先生の合図とともに、みんなが動き出した。この班は、女子組はカレーの具材を切って煮込む、男子組は米を炊くことになっている。
清「あれ、これ水の量あってんのか?」
奏「いやいや!?そんなに要らないって!おかゆでも作るの!!?」
明「サイズはこんくらいでいい?」
水「もう少し小さくしてくれるといいな…玉ねぎ…」
晴「相変わらず野菜嫌いは治らないんだね」
水「私は野菜を食べなくてもこんなに元気でいられてるんだもん!」
晴「子供か」
水「12歳のガキですが」
色々とハプニングはあったが、無事完成した。
一同「いただきまーす!!」
水「ん〜美味し〜!」
晴「やっぱ手作りはちがうね」
自分達だけで作ったカレーの味は、今まで食べたカレーの中で1番美味しかった。
奏「清の不器用さには苦労したよ…」
清「ごめんって」
明「ホワイトデーのお返しは豪華なのにね」
清「うるせw」
パクパクウマウマ
水「ご馳走様〜!」
清「あ〜食った食った!」
水「片付けて来るね!」
晴「そう言えば、ほかの学校も結構いるよね」
明「全部近くの学校かな?」
奏「さぁ、でも、僕が前いた学校は来てると思うよ!」
晴「気をつけなよー?」
奏「そのつもりさ!あと、僕は昔とはもう違うからな!!」
明「すっかり元気になったよね」
その頃
水「お皿どこにやるんだっけ…ここか、よし戻ろ」
私が戻ろうと調理場を出ると、そこには見たくもない人がいた。
律「あ……ども…」
水「!!?」
私は逃げた。あの嫌な顔、嫌な声、全てが恐怖、そして恨みの対象。
水「はぁ…はぁ…ふぅ」
清「大丈夫か?」
水「あ、うん!大丈夫!」
清「何かあったら言えよ?」
水「うん、ありがとう!」

その頃

奏「僕も片付けよ…お腹いっぱいだな〜」
僕もカレーを食べ終わって、お皿を片付けようとした時、
昔の同級生「よう奏夜」
奏「えっ…」
驚いた。転校する前、僕を散々な目に合わせた子の1人だった。
昔の同級生「随分と友達が出来たんだなあ。髪も切ってメガネも取って。友達が出来たからって調子に乗りやがったか!!ははは!!」
僕は段々腹が立ってきた。でもこんな人がいるところで騒ぎを起こしたら、来年からは皆がここに来れないかもしれない。ここは落ち着いて、スルーする事にした。
奏「うん。僕にだって、友達が出来たんだ。それじゃあ、僕は片付けがあるから」
そう言って立ち去ろうとした。その時、僕は何かに引っかかって転んだ。足だ。人間の。
奏「……くッ…」
すると、ソイツは周りには聞こえないような小声で僕にこっそり言った。
昔の同級生「俺の前で二度と笑うんじゃねぇよ。お前の笑顔は昔っから無性に腹が立つんだよ。どうせお前のお友達もろくな奴じゃねえんだろうがよ」
奏「は………?」
僕の心臓の音が大きくなって行く。そして腹が立つでは済まないほどに怒りが込み上げてきた。全身に力が入って、腕が震えてきた。僕は振り返ってソイツを睨みつけた。
奏「ッ────!」
昔の同級生「な…何だよ!?」
僕はソイツに近づいて、顔の真横でこう言った。
奏「俺を馬鹿にするのは全然構わない。だけど、俺の大事な友達を馬鹿にするのは─」

─死んでも許さねえ─

昔の同級生「──!?」
奏「それじゃあ俺はお皿片付けなきゃだから、じゃあね〜」
僕はめいいっぱいの笑顔でその場を立ち去った。その後ろでは、ブルブルと震えてる他校の生徒がいるのを知らずに。

その後、周りを探索し、夜になり、肝試しが始まろうとしていた。
付き添いの先生「皆頑張ってね〜」
晴「先生それ怖いです」
明「怪談でも始めるんですか?w」
先生は、怖い話でも始めるかの様に、懐中電灯を顔の下から当てて、光らせていた。
水「誰かの後ろに行かせてくださいお願いします…………」
晴「じゃ班長の後ろね」
清「勝手に決めんないいけど」
奏「いいんだ」
テクテクテク
グシャッ
水「ヒィ!」
明「るーさん、それただの枝」
水「ごめんて」
テクテクテク
一同「シーーン……」
皆本当に怖かったからか、黙っていた。すると、突然─
律「わっ」
水「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
清奏「は!!???」
明「ぬぉぉぉあぁぁ!?」
晴「悪霊退散!!!悪霊退散!!!!!」
律「あ、間違えましたー」
清「おい潰されてぇのか?」
奏「あ、律だ……」
晴「知ってるの!?」
奏「うん…前の学校で、2年前に転校してきたんだ…」
明「2年前って…それ…」
奏「てか、水香を驚かしたのは許せないけど、何であそこまで清はガチ切れしてんの?」
晴「あいつがるりを虐めてた張本人だからね」
奏「…………はぁ?」
律「なぁーー奏夜ーー助けてくれよ〜」
奏「ふぅん…律って…水香のこと虐めてたんだってぇ…?」
律「そんなの昔のことだぜ〜?」
奏「ねえ、知ってる…?」
律「え?」
奏「やった方は冗談のつもりでも、やられた方は死ぬ程辛い思いしてるんだよ…分かってるんだよね…?」
律「ハヒィ?」
奏「僕はその気持ちがとーっても分かるんだよねぇ…同じくらい辛い思いをしたからさ…」
僕は、何だかよく分からないけど怒りが込み上げてきている気がした。
奏「それに、やった方は一瞬のつもりでも、やられた方は一生傷が残るんだよぉ…だからさぁ…」
律「なんだよ…」
奏「俺の友達に、2度と関わるな…分かった…?」
律「うあああぁぁ」
律は走って行ってしまった。
水「カタカタカタカタカタカタカタ」
奏「大丈夫?」
水「もう怖くて動けないよぉ………ぅぅ」
私の足は産まれたての子鹿のように不安定だった。すると─
清「じゃ、ちょっと失礼するぜ」
水「へ???」
ヒョイッ
水「ひゃっ!?」
私は、お姫様抱っこをされた。
清「じゃ俺達先行ってるわー!!」
晴「あ、おい!!あいつ自分が班長なの忘れてない!?」
タタタタタタタタタタ
明「行っちゃった…」
奏「はあああぁぁぁぁぁぁぁ……」
晴「……仲良いね」
奏「うん」
明「それどころじゃないっしょ」