お兄ちゃんたちが卒業して、2回目の春を迎え、
私は受験生になった。

時々遊びに来ていた藤堂先輩だけど、私は数回しか会えていなかった。
会ってもたいした会話もできずに終わってしまう私。ダメだなぁ。もっと先輩のことが知りたいのに。


今日は、桃と隼と(たける)と一緒に桜を見に来ている。

桃『満開だね!あっ、りんご飴食べたい。行こう隼!』

隼『待てよ、桃!』

美「ちょっとー。」

健『桃は相変わらずだな。美桜は何が食べたい?俺買ってくるよ。』

美「たこ焼きかなぁ!でも、一緒に行くよ。」

健『いいよ。ここで待ってて!』

美「わかった。」

一人で待ってるのも寂しいんだけどなぁ。
でも、綺麗だなぁ。

『美...桜ちゃん?』  美「えっ?」  
嘘っ。先輩?

美「先輩。」

『はるー、どうしたの?知り合い?』
春『お、おん。ちょっと先に行ってて。すぐ行 くから。』
『わかった。早く来てね。』

可愛い人...彼女かな?きっと、そうだよね。

春『久しぶり。元気?』

美「はい!なかなか会えないですもんね。」

春『結構遊びに行ってるんだけどね。すれ違いだよね。』

美「あれ?今日は、お兄ちゃんも一緒ですよね?先輩と遊ぶって言って、私より先に出かけたんですよ。」

春『今、買い出しに行ってる。ちょっと座らない?』

美「は、はい。」

春『てか、桜綺麗だね。』

美「はい。
 自分の名前にも入ってるからか桜が好きで、毎年春が楽しみなんですよね。」

春『美しい桜...』   美「えっ?」

春『美桜ちゃんの名前。綺麗な名前だよね。』

美「照れちゃうんでやめてください。先輩の季節でもありますよね。」

春『あー、春ね。確かに!俺らの共通点だね。』

先輩との共通点。前から気づいてたけど、改めて言葉にすると照れちゃうな。でも嬉しい共通点。

春『受験勉強どう?』

美「聞かないでください。お兄ちゃんが塾選びから参考書まで、何から何まで準備して張り切ってます。」

春『想像できる!どこ受験するの?』

美「◯◯がいいんですけど、家から遠いから親は反対してて。お兄ちゃんと同じ所なら安心するみたいなんで、
 △△高にしようかなぁって感じです。」

春『俺、◯◯だよ。』  美「えっ??」

春『知らなかった?那桜に聞いてない?』

美「聞いてないです。お兄ちゃん、あんまりそういうこと話さないんで。」

春『そっか。同じ高校になれるといいのにな。』

美「えっ?」     

春『あっ!ねぇ、連絡先聞いて良い?』

美「は、はい!」

春『もし、高校のことで気が変わったっていう事があったり、聞きたい事があったり、何でも
 いいから、気軽に連絡して。』

美「ありがとうございます。」

春『美...桜っと。』    美「えっ?」

春『名前登録した。てか、美桜って呼んでいいかな?俺のことは、春瑠でいいから。』

美「よ、呼び捨ては...お兄ちゃんに怒られそう。じゃあ、春瑠君にしますね。」

春『(笑)いいよ。』    健『美桜!!』

美「健!」

健『探したって。あっ、藤堂先輩?』

春『久しぶり!健。』

美「あー!そっか。二人部活が一緒か。」

健『そう!先輩一人っすか?』

春『いや、友達が向こうで待ってる。二人って仲良かったんだな。』

健『クラスがずっと一緒で。俺たち付き合ってるんですよ。』

春『あっ、そうなんだ。』

『はーるー!もう、早く来てよー。』

健『先輩も彼女さんと一緒だったんですね!俺らも早く行こう。みんな待ってる!じゃあ、失礼
 します。ほらっ!』

美「う、うん。じゃあ、また・・・」

先輩ともっと話したかったな...てか、連絡先交換しちゃった...嬉しいけど...
先輩、やっぱり彼女いるよね。私も...

健がいう通り、私たちは付き合ってる。
ずっと仲が良い友達だったけど、桃と隼が付き合うようになったことがきっかけで、よくwデートに誘われて出かけてるうちに、流れで付き合うことになった。健はすっごく私を大切にしてくれるから不満はないけど、私の中のどこかで先輩を意識してしまう自分がいる。
ダメだなぁ。
彼女もいるし、そろそろ諦めなきゃ。友達として。お兄ちゃんの親友として。ちゃんと意識していこう。