中学生になってから、初めての部活。
私は、スキップしながら4階へあがった。
そう。吹奏楽部の部室は4階にあるんだ。

何のパートになるんだろう?

わくわくしながら部室に入ったのに。。。

第一希望のホルンにはなれなかった。
そのかわり、第七希望のトロンボーンパートになってしまった。(いちばん最後に希望したのに。)

どうして……!?
友だちは、第一希望とか、第二希望とかだったのに……。
なんで私だけ!?

……、トロンボーンパートには、男子の先輩もいるんだよね……。だから、第七希望にしたんだ。

私って、ほんとに運悪いな。。。

部活見学のとき、その男子の先輩と一度話したことがあったけれど、話しにくい先輩だったから、トロンボーンパートにだけは、なりたくなかった……。

「え〜と、なにちゃんだっけ?」
3年生の先輩が聞いてきた。
「星野鈴奈です」
「鈴奈ちゃんか〜。音楽っぽい名前で羨ましいな!私は、岡田すみれ。すみれ先輩でも、岡田先輩でも、なんとでも呼んでいいからね」
「はいっ!よろしくお願いします!」
その時、男子の先輩はいなくて、もう部活やめちゃったのかと思った。
「陽翔くん、遅いな〜」
えっ?『陽翔くん』って、もしかして、、、
「あのね、もう一人先輩がいて、その先輩は、鈴木陽翔っていう名前なの。なんて呼んでも、陽翔くんなら怒らないと思うよ!」
「はいっ!」
そして、鈴木先輩は来ないまま、今日の部活は終わった。
はぁ、平和が戻ってきたーーーーーーーっ!
早く家に帰って、今日の復習をしないと!

「星野さーん!」
えっ?聞いたことがない声。……ううん、一度だけ、聞いたことがある声。。。
振り返ると、鈴木先輩がいた。
「はい!どうしたんですか?」
「初めまして、鈴木陽翔です。これからよろしくお願いします」
えっ?初めまして?こないだ会ったばかりだよ?もしかして、覚えてない、とか?
それは悲しい!
でも、先輩が覚えてないんだったら、こないだのはリセットしよう。
「初めまして、星野鈴奈です。こちらこそよろしくお願いします」
ペコッと頭を下げた。
「それじゃあまた明日!」
そう言って、先輩は友だちのところに走っていった。
……先輩って、意外と背、低いな。
私と目線があってたもん。

なんとなく、気持ちがふわふわした。でも、私にそんな人はいないと思って、心の中に、しまいこんだ。