フィオナは、暗い顔でエヴァンたちの顔を見ることなくバスの中での出来事を話した。

「……先程、シオンさんが救ったバスジャックの犯人から連絡がありました。近くにある遺体安置所まで来て欲しい、とのことです……行きましょう。皆さん、私が嘘をついていると思っているようなので」

「……」

フィオナは、立ち上がると部屋を出た。



「……シオンさん……嘘だよね?」

シオンの遺体を見た精神科医のレイモンド・アルストロメリアは、シオンに声をかける。

「起きて!シオン……起きてよ!!」

サルビアが声をかけても、シオンは反応しない。それを見た皆は、呆然とすることしか出来なかった。

「……ごめんなさい……」

「……フィオナ?」

「ごめんなさい……」

ごめんなさい、と何度も呟くフィオナの目には涙が浮かんでおり、エヴァンたちは少し驚く。それを少し見つめた後、フリージアはシオンの遺体を抱き締めた。

「……ごめんな。シオン……今までありがとう……疲れただろ?ゆっくり休めよ」

そう言うフリージアの声は震えており、フリージアは泣き始める。

「……」

それを見たフィオナは、涙を流した。