名残惜しいが、頬から手を離し立ち上がる。


ハイネが立ち上がったのを確認して、俺は部屋から出た。




「お前の頭突きはマージ痛ぇ……」




未だに廊下に転がっていた桂が、俺を見てそんなことを呟いてくる。




「誰かさん達のお陰で、鍛えられまくってるからな」


「おーう」




わざとらしく天を仰ぐ桂。


誰かさん達とは、もちろん毎朝懲りずにハイネの部屋に忍び込むコイツや竜ちゃんのことである。



イラッとした俺は、桂の両足首を掴むと廊下を歩き出す。



ズルズルズルズル……。




「……やっっ八雲やん。……それは……ちと……危険」












ギャーーーーーーーーーーーッッ!!



家中に響き渡る悲鳴。



桂を引き摺ったまま階段に突入。




ゴンッ!!

ガンッ!!

ぎゃっ!?

あいたぁっ!?



小気味良い音と、一段下りる度に上がる桂の悲鳴を聞きながら1階へと下りるのだった。

















ハイネと出逢って約1年。


コレが俺、真木八雲の毎朝の日課である。