「お・ま・え・はぁ……」


「いや、待て八雲!!俺はどうしても起きないチビ助を……」



バタバタと手を振って言い訳をするのは


ダークブラウンの無造作ヘアーに少々垂れたブラウンの瞳。


甘いマスクで食った女は数知れず、来る者拒まず去る者追わずのモテ男。


藤本桂(ふじもと けい)だ。


走り屋専門の暴走族"黒豹"の総隊長。



豹の顔の形を模したシルバーピアスがキラリと光る。




「ハイネが寝てる時にはこの部屋には入るなって言ってんだろうが!!」




ゴッガァッッ!!




「~~っっ!!??」



桂の前まで行き、焦る奴の胸ぐらを掴み頭に頭突きをくらわす。


手加減なしのソレで声なく悶絶している桂を廊下へ放り出す。



「全く、油断も隙も……」




バタン。



ドアを閉め、ため息をついたところで今度はベッドの異常に気付く。


11月の中旬で、朝の7時半。


カーテンの引かれた部屋の中はまだ暗い。


そんな中でもはっきりとわかる異常だった。



女の子が寝てるにしては、布団が大きく盛り上がり過ぎているのだ。








……さて、どうしてやろうか。