「馬鹿?」



麻也に呆れられ



「何やってんだ?チビネ」


「くぬー……」




珍行動のあたしを見て、キョトンとしつつもハンドルの食い込んだ背中を撫でてくれる蓮くん。


うう、蓮くん優しい……。


それに比べて、麻也の瞳の冷たいこと……。



泣くよ?


それもこれも!!


ギッと元凶の桂を睨めば、奴はケータイで誰かと話してる。



聞こえてくる名前と声から、相手が女の人だとわかる。


今度はサンドウィッチにいれたキュウリなどではなく、丸々丸ごとのやつを口に突っ込んでやる……。




「止めろっ」


「じゃあな、チビネ!!」


「行ってくる」


「いってらっしゃい!蓮くん、麻也。って麻也、自分のバイクは?」




今、気付いた。


麻也は蓮くんのバイクの後ろに乗ってる。




「……ガス欠」


「なるほど」




納得。



パッパーッ!!



クラクションを鳴らして、竜希さん、桂、蓮くんとその後ろに乗った麻也が"シャーウッド"の駐車場から出ていく。


それを手を振って見送る。




「ホラ、寒いから早く店に入れ」




最後は八雲さん。




「大丈夫ですよ」




入るのは八雲さんを見送ってから。




「ハイネ」


「ん?」




八雲さんはあたしを見て、次にあたしの首にかかっている"物"を見た。



「何かあったら吹けよ?」




そう言うと、ソレに手を伸ばしてきてピンッと弾く。




「はい。わかってます」




心配性の八雲さんに笑って頷く。


あたしの胸元で弾かれて揺れるソレは









真っ白なホイッスル。