あんたはただ突然会えなくなった"好きな人"を思い続ける"自分"に酔いしれてただけだ。
『自分勝手な思いをハイネにぶつけた挙げ句、ミジンコのようなプライドのために、ハイネを貶める……』
ミジンコて…八雲さん。
って、ツッコめないけどね!!
だって、二人とも殺気が半端ないんだもの!!
向けられてない、あたしがチビりそうなのだ。
新山なぞ…。
生まれたての子牛のようにガクブルではないか!
『本当にお前…』
『『殺すぞ?』』
っっっ!!
心臓が止まりそうになる。
冷酷な氷と紅蓮の炎、そんな二人の容赦ない眼差しと言葉。
「……ひぃ…あっあ…」
新山は声さえ出せず必死に後退ろうとしてるけど、力が入らないのか少しずつしか動けていない。
もう、十分だよ。
「八雲さん、蓮くん。ありがとう」
そう言って二人の腰を叩けば、殺気を瞬時に消して、こっちを見てくれる。
だから笑う。
「あたしのために怒ってくれて、ありがとう」


