早瀬の勤めているショップには、姪っ子の杏と一緒にいったけれど、その時には彼女の姿を見つけられなかった。
 彼氏に拉致られていく杏をしり目に、もう一度、ショップをのぞく。
 今度は、レジで忙しなく接客をしている彼女を発見。
 ジッと見ていると、うちの店にお客として来るときの彼女と違って、少し大人びて見えて、少しだけ、焦った。
 うちの店で時折見せる、幼い頃の面影はない。
 仕事用の笑顔は決して嫌味ではなく、彼女も一人の大人の女性だというのを再認識した。


 そんな彼女が、久しぶりに予約してきたというのに、俺を指名してこないことに、軽く苛立ちを覚えた。
 たまたま今日は早い時間の予約がなかったから、すぐに俺が対応できたからよかったけれど。
 ずっと担当しているだけに、他のヤツに任せる気にはなれないのは、少しばかり、子供じみているかもしれない。

 ――それにしても終始顔をこわばらせていたのはなんだったのか。

 野村の名刺まで受け取っていたのは意外だった。
 最後はなんとか、ご機嫌を直してくれたように見えたけど、何が原因だったのか。
 しかし、野村が、早瀬にここまでちょっかいだしてくるとは思ってもいなかった。
 余裕のある大人な態度でいたいのに、余計なことをしてくれる。


 次回は、イメージチェンジがご希望だったな。
 ……どんな早瀬ができあがるか、今から楽しみだ。