「最後まであの人のことを愛していたからだよ、きっと」
すれ違いが多かった私達。
でも、そこに確かな愛はあったんだよ。
私の人生の最後に彼が証明してくれた。
あの時、彼が流した涙は偽物の涙なんかじゃなかった。
本当に心から私を愛してくれていたんだって思えるんだ。
そうじゃなきゃ、きっと私は彼を助けたりなんかしなかったと思う。
ふと死神をみると優しい笑顔を浮かべていた。
無表情と思っていたけど、笑った方が似合うじゃん。
「そろそろ行きましょうか」
死神が手を差し伸べる。
私はその手に自分の手を置いた。
死神が透けないからやっぱり、私はもうこの世にはいないんだ‥‥‥。
「ねぇ、これから私が行く場所はどんな所なの?」
そう尋ねてみると、少し先を歩いていた死神が明るい笑顔を浮かべて振り向いた。
「そこは、いつまでも幸せに暮らせる所ですよ」
その瞬間、温かい光に包まれた。
ーENDー



