大切な人のために


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ふわりふわりと浮かぶ雲の上。

そこから、私は街を見渡していた。

死んだという実感はまだ湧かない。

殺されたというのに、どこも痛くないんだもん。

ただ、私はもうこの世にはいないということ。

「美紅さん」

突然、私の横に死神が現れた。

もう最初に出会った時みたいに驚きはしなかった。

「どうして助けたのですか? 貴方は、高橋 晴人さんが亡くなることを希望されたではありませんか?」

「‥‥‥うん。したよ」

「それなのにどうして庇ったのですか? 私にはその意味が分かりません。自分の命より他の人の命を守ることが」

「私にも分からない。どうしてあの人を助けたのか。でも、1つだけ分かることは‥‥‥」

たった1つ。

これだけは言える。