「なんか、新鮮です。生まれ変わったみたい」
「そこが洋服やメイクのいい所だよね。本人も気づかなかった魅力を引き出してくれたり、気分や運気まで変えてくれたり」
眼鏡も帽子も、結局ナシ。
なのに、全然印象が違う。
見れば見るほど、これが自分とか信じられない……
「こういうのも、たまにはいいでしょ?」
「はい、すごくいいと思います!」
これはもう変装っていうより変身レベルだな。
猪熊さんだって気づかないかも。
「いつものは、ちょっと甘ったるすぎるよね」
「そうなんです、昔からなんとなく――」
ごく普通に答えそうになって、ギクッと言葉を打ち切った。
なんか今の言い方って……
「この格好なら大丈夫。誰も気づかないよ」
……間違いない。
わたしのことバレてる。
ジェイが話した……?
「静さん、わたし――」
ちゃんと説明すべきだろうかと口を開きかけたんだけど、それを遮るように、静さんはポンとわたしの両肩を叩く。
「さ、早くジェイに見せておいで」
不安に揺れる視線を上げると、鏡越しに優しく微笑まれ……なんとなくわかった。
この人はきっと、誰にも何も言わないって。
根拠はないけどそんな気がして、わたしはそっと、肩から力を抜いた。


