だてに子役時代から大人に混じって仕事してるわけじゃない。
こういう時の第六感、結構当たるんだよね。
澄んだチャコールグレイの瞳を見つめ返して、間違いない、と確信する。
その上で思い返してみると……屋上でのことだって、実はナンパじゃなかったのかもしれない。
フラれたわたしをジョークで励まそうとしてくれた、とか。
ホントのところはわからないけど。
それに比べて……わたしはどう?
自分のことしか考えてない上に、逆ギレして喚いて……
こんなの、ただのガキんちょだ。
高ぶっていた気持ちが収まってくるといろいろ居たたまれなくなってしまい、しゅんと肩が落ちた。
なんかめちゃくちゃ恥ずかしい。
はぁ……もういいや、と吐息をつく。
初体験は諦めよう。
彼にしろ誰にしろ、自分の都合に巻き込んで利用するなんて、間違ってた。
結局、後味の悪い結末にしかならないと思うし。
これはわたしの問題なんだから、自分の未来のためだと思って我慢しなくちゃ。
たぶんそれが、一番いい。
自分を納得させるみたいに胸の内で独り言ちると、彼から一歩二歩と離れてバックを拾う。
そして、この場はひたすら謝るしかないと心を決め、顔を上げた。
「あのっ――」
「ようやく見つけたぞ!」


