マリオネット★クライシス


弾丸のような調子でしゃべりまくり、「あ、車あっちね」と息も乱さずに言う。
その肺活量は歌手として見習うべきなのだろうか、と本気で考えながら後へ続いた。



『タレントにとって恋愛は、9割がトラブルの元。その考えは変わらないわ。だから証明してみせてちょうだい。あなたたちが、残りの1割だと』

『追伸 アジアツアーは絶対やるわよ』

潤子からのメッセージを苦笑とともに読み終わったジェイは、栞からは何も届いていないことを寂しく思いつつスマホをしまい――「あれ」と駐車場に停まった白のミニバンを認めて首を傾げた。

「車って、廃車になったんじゃないの?」

後部座席に乗りこみながら疑問を口にした瞬間、気づいた。
自分が地雷を踏んでしまったことに。


「…………まぁね」

運転席でシートベルトをつけていた男のテンションがだだ下がる。
めんどくさい奴だ。

「ナンバープレート見なかった? ()ナンバーなんて、初めて乗ったよ。わ、だよ、わああーーーっ!」

「つまり……ええと、レンタカー?」