わがままな子どもに言い聞かせるみたいな口調で言われて、
ぽんぽん、宥めるような手つきで頭を軽く叩かれて……。
分かってる。
その通りだ、彼が言ってることは正しい。
そうだよね。
そんなこと、わかってる……。
わかってるってば。
頷く自分がいる一方で、なぜかムクムクと沸く反発心。
気づいた時には――パシッて頭上の手を振り払っていた。
「ヤケになってるわけじゃないです!」
チャラい、って思っていた相手に、そんな風に正論っぽく諭されたことが、なんだかすごく恥ずかしくて、同時に悔しかった。
「ちゃんと考えました! わたしだって好きでこんなことしてるわけじゃないっ。初めては好きな人と、ってそりゃ……」
こっちの事情なんて、何も知らないくせに。
そもそも先にナンパしてきたのはそっちじゃないの。
「けど、どうしようもないことってあるじゃないですか! 何も持ってないわたしが生き残るためには、他に選択肢がないんだから!」
どこから見ても、ただの八つ当たりだけど。
その時は頭に血が上ったまま彼のシャツを掴んで自分へと引き寄せ、噛みつくみたいに睨みつけていた。
「とにかく時間がないのっ! こっちは、今夜には好きでもないエロオヤジとベッドインしなきゃいけないのよ!? だから、あんな奴にくれてやる、ぐらい……なら……」
……ん?


