「しし心配しないでください!」
こっちだって時間ないし、簡単に諦めるわけにはいかないんだからっ!
「わたし、痛くても我慢できるし、あなたが下手だとか絶対言ったりしないから! 処女ってむしろお得ですよ? 全然経験ないから、ちっちゃいとか早いとか、他の人と比べたりできないし、安心して――」
「ぶはっ!」
思いつく限りの言い訳をまくしたてていたら、膝を叩いて彼が吹き出した。
え? 何?
何かおかしなこと、言った?
「面白いね、君」
爆笑しながらこっちをチラ見する両目には、涙まで滲んでるっぽい。
えーと……なんで?
「オレは全然気にしないよ? 初めてだろうとなんだろうと。君のこと、気に入ったし」
「じ、じゃあっ」
「――けど、女の子ってそういうの、大事にした方がいいんじゃない?」
言い含めるように続けた彼は、もう笑ってなかった。
「初めての相手とか、シチュエーションとか、記憶に残るだろうしさ。男にフラれたからって、自棄にならない方がいい」
男にフラれた?
どうして、それを……と言いかけて、口を噤んだ。
あの絶叫を聞いていれば、そりゃ簡単に想像できるよね。
「知らない男相手に勢いだけでポイ捨てしたら、きっと後悔する」


