マリオネット★クライシス


「しし心配しないでください!」

こっちだって時間ないし、簡単に諦めるわけにはいかないんだからっ!

「わたし、痛くても我慢できるし、あなたが下手だとか絶対言ったりしないから! 処女ってむしろお得ですよ? 全然経験ないから、ちっちゃいとか早いとか、他の人と比べたりできないし、安心して――」

「ぶはっ!」
思いつく限りの言い訳をまくしたてていたら、膝を叩いて彼が吹き出した。

え? 何?
何かおかしなこと、言った?

「面白いね、君」
爆笑しながらこっちをチラ見する両目には、涙まで滲んでるっぽい。
えーと……なんで?

「オレは全然気にしないよ? 初めてだろうとなんだろうと。君のこと、気に入ったし」

「じ、じゃあっ」

「――けど、女の子ってそういうの、大事にした方がいいんじゃない?」

言い含めるように続けた彼は、もう笑ってなかった。

「初めての相手とか、シチュエーションとか、記憶に残るだろうしさ。男にフラれたからって、自棄(ヤケ)にならない方がいい」

男にフラれた?
どうして、それを……と言いかけて、口を噤んだ。

あの絶叫を聞いていれば、そりゃ簡単に想像できるよね。


「知らない男相手に勢いだけでポイ捨てしたら、きっと後悔する」