マリオネット★クライシス


静かな声が蕩けたような脳みそに届いた時にはもう、彼はわたしから離れていた。
密着していた体が離れ、汗ばんだ肌がすっと冷えていく。

自分の濡れた唇を親指でぬぐい、

「気は済んだ?」

淡々と言う彼がさっきまでの激しい姿と全然重ならなくて、崩れそうな膝に力を入れながらどうにかこうにか聞き返した。

「えっと……?」


「君、処女(バージン)だろ?」


あの獰猛な視線はどこへやら。
冷静に告げられ、息を飲む。

「ど、どうして……」

「どうしてわかったかって? まぁそりゃ、わかるだろ。身体ガッチガチだし、泣きそうだったし?」

な、泣きそう? そんな風だった?
だから気を悪くした?

あぁサイアク。何やってんだろう。
そこは演技力でカバーしなきゃでしょ。

「だ、黙っててごめんなさい。面倒くさい、ですよね」

「別に……そういうことじゃないけど」

言い淀んだジェイの目が出口の方を見ていることに気づいて、わたしは自分が失敗したことを悟った。

まずい。呆れてるよ、彼……。
もしかして、このまま終わり?

ちょっと待って、それは困る!