静かな声が蕩けたような脳みそに届いた時にはもう、彼はわたしから離れていた。
密着していた体が離れ、汗ばんだ肌がすっと冷えていく。
自分の濡れた唇を親指でぬぐい、
「気は済んだ?」
淡々と言う彼がさっきまでの激しい姿と全然重ならなくて、崩れそうな膝に力を入れながらどうにかこうにか聞き返した。
「えっと……?」
「君、処女だろ?」
あの獰猛な視線はどこへやら。
冷静に告げられ、息を飲む。
「ど、どうして……」
「どうしてわかったかって? まぁそりゃ、わかるだろ。身体ガッチガチだし、泣きそうだったし?」
な、泣きそう? そんな風だった?
だから気を悪くした?
あぁサイアク。何やってんだろう。
そこは演技力でカバーしなきゃでしょ。
「だ、黙っててごめんなさい。面倒くさい、ですよね」
「別に……そういうことじゃないけど」
言い淀んだジェイの目が出口の方を見ていることに気づいて、わたしは自分が失敗したことを悟った。
まずい。呆れてるよ、彼……。
もしかして、このまま終わり?
ちょっと待って、それは困る!


