「オレたちの自由は、親が認める範囲の中にしかなかった。ないと、思い込まされていた。だから本当にやりたいことに挑戦することも、可能性を試すこともできなかった」
「あぁそうカ、その女カ。お前を騙して、タブラカして――」
「もっと早く気付くべきだった。あなたに自分の人生を乗っ取られていることに。早く気づいて、そして直接、あなたにぶつけるべきだった。自分の思いを」
「お前がワタシの息子だと、リーズグループの次期総帥だと知って近づいたノダ! お前は騙されてイル!!」
どんな言葉を喚かれても、ジェイを動揺させることはできない。
束の間見つめ合った後、わたしたちはどちらからともなく、ふふって微笑んだ。
そうだ、大丈夫。
これから彼が言おうとしてることを、わたしはもう知っている――
「オレはもう18、大人だ。自分の人生は、自分で決める」
力強い視線が、父親へと注がれた。
「父さん、オレは音楽の道で生きていく。次期総帥にはならないし、あなたの跡も継がない。二度と、あなたにもリーズグループにも関わらずに暮らしていく。オレを――勘当してくれ」


