「ナゼ、まずワタシに連絡しないのカ!」
音楽祭については一言も触れることなく吐き捨てる父親に、ジェイは抑えた口調で言う。
「しただろ。だから今ここにいるんだし」
「総帥への連絡の前に、という意味ダ。総帥へは、ワタシから説明するのがスジというものダろう!」
顔を真っ赤にして、肩を怒らせる。
自分を飛び越えてジェイが総帥とやりとりしたことが、相当気に入らないらしい。
「これではワタシが息子の生活、何も把握してナイ阿呆のように総帥に伝わってしまうっ! ワタシの面子ガ丸つぶれだ!」
「事実だし」
ぼそっとつぶやかれた言葉は、たぶん隣にいるわたしにしか聞こえなかった、はず。
「いいカ、まだ若いお前が次期総帥の椅子に座るためニは、後見役が不可欠ナンだとナン度も教えてやったダロう! お前の栄華のためニは、父親のワタシもまた、相応の地位にいなくてはナラナイのだ! それをお前はめちゃくちゃにシようとしてイる!!」
え、……
次期総帥って、まさかジェイがリーズグループの……次のトップ?
いきなり飛び出したとんでもない話に、愕然とした。


