マリオネット★クライシス


ギリギリだった。
危ない危ない……

「ゆ?」

本名なんか教えたら、後で検索されちゃうかもしれない。
身バレは厳禁。慎重にならなくちゃ。

「ゆー……ユウ、です」

「ふぅん、ユウ、ね。じゃあオレは、ジェイってことで」


“ってことで”……?
妙な言い方だよね?

これたぶん、ユウが偽名だって見抜かれたな。
その上で、同じく偽名を返してきた、ってとこ?

「ジェイ、さん」

もちろん、こっちとしては文句なんて言える立場じゃない。
今日限りの関係だしね。

「ジェイでいい」


「あ、はい。じゃあ、ジェ――……っんん!?」


唐突に、思考が――ホワイトアウトした。

後頭部に回っていた手に強引に引き寄せられて、言いかけた言葉ごと飲み込むように……

唇が、重なっていたから。