ギリギリだった。
危ない危ない……
「ゆ?」
本名なんか教えたら、後で検索されちゃうかもしれない。
身バレは厳禁。慎重にならなくちゃ。
「ゆー……ユウ、です」
「ふぅん、ユウ、ね。じゃあオレは、ジェイってことで」
“ってことで”……?
妙な言い方だよね?
これたぶん、ユウが偽名だって見抜かれたな。
その上で、同じく偽名を返してきた、ってとこ?
「ジェイ、さん」
もちろん、こっちとしては文句なんて言える立場じゃない。
今日限りの関係だしね。
「ジェイでいい」
「あ、はい。じゃあ、ジェ――……っんん!?」
唐突に、思考が――ホワイトアウトした。
後頭部に回っていた手に強引に引き寄せられて、言いかけた言葉ごと飲み込むように……
唇が、重なっていたから。


