「ユウ」



聞き慣れた声に呼ばれて、ビクッと身体が震えた。


全身を耳にして気配をさぐるわたしのそばへ、誰かが膝をつく。


その人はわたしを助け起こしてネクタイを解き、口の中からハンカチを取ってくれて……

「っは、っ……」

口を開くなり新鮮な空気が一気に流れ込み、ゲホゲホむせ込んじゃった。



「ゆっくり、ゆっくり呼吸して」


背中をさすってくれる、温かな手……とうとう涙腺が決壊した。


「っ、ジェ、……っふ、ぇ、……」

ジェイだ。


ジェイがいる。