お前(・・)? 馬淵さんの声で、反射的に上げた視線の先――…… 視界のど真ん中に立つ、見覚えのあるあの長身、あの背中…… ウソでしょ、まさか…… なんで……どうして? 幻? ついに幻覚見ちゃった? だって、あれは…… 「……っ(ジェイっ)!!」 声にならない声が届いたのか、彼が肩越しに振り向き……くしゃっと微笑んだ。 「ユウ……遅くなってごめん」