それに……
――ざーんねん。もう少しで落ちそうだったのに。
あの言い方を考えると、まるきりわたしが対象外ってわけでもない感じじゃない? ね?
5階、
4階、
カツカツカツ……
ローヒールとはいえ、走りづらい華奢なミュールを恨めしく思いながら、とにかく一目散に下を目指す。
土曜だし、渋谷の人込みに紛れちゃったら、いくら彼が特徴的な外見でも見つけるのは難しい。
なんとかその前に捕まえないと。
あぁもう、どうしてもっと早く思いつかなかったんだろう……
ぼんやりしてるなんて、ほんと最悪。
3階、……
急いで。
急いで。
2階……
あと少し……
着いた!!


