潤子が事情を話してくれたおかげで、大体のところはわかっている。

バレれば反対されると考えたうえでの偽装工作だったのだろうが、最初から打ち明けていてくれればこれほど事態が拗れなかったのも事実だ。

だから皮肉の一つくらい許されるだろう、と思ったのだけれど。


《助けて、くれ……》

どうも様子がおかしい。

<……どうした?>


《ユウがっ……連れていかれたっ……早く、見つけないと……っ……!》


切れ切れに届いたのは潰れた掠れ声だったが、十分状況は伝わった。
ユウ、というのは結城栞のことだろう。


《SDならできるだろ!? 頼むから探してくれ!! 車のナンバーは練馬〇〇―×××……》


らしくもなく取り乱しているジェイに、ライアンは申し訳ないと思いつつ新鮮な驚きを覚えた。
あいつでも、こんな風にパニックになることがあるのかと。


《勝手なこと言ってるって、わかってる。説教なら、後でいくらでも聞く! いくらだって謝るし、土下座だってする! なんでもするから、頼む! 助けてくれっ!!》


それも、たった一人の女の子のために――