計算外だったのは、偶然が重なり、当初の予定とは違う場所で再会した彼女が、とても魅力的な女性に成長していたこと。


――東京観光のガイド、わたしにやらせてもらえませんか?

――とにかく時間がないのっ! こっちは、今夜には好きでもないエロオヤジとベッドインしなきゃいけないのよ!?


冗談じゃないと思った。
他の男なんかに渡してたまるか、と。

気づけば、彼女の腕を掴んでいた。


――……あの、今日、ほんとに楽しくて……

――図々しいお願いかもしれないけど、その……友達、になれたらって。


友達?
どうしてそんな関係で我慢できる?

その頃にはもう、淡く幼い、憧れにすぎなかった想いは、生々しい欲望を伴った恋情へと進化を遂げていた。


そして。


――違う、のっ……わた、し……

――っ……マリオネットじゃ、ないぃいっ……!


笑顔の下の苦しみ、涙――脆く弱いそれらを垣間見た瞬間、胸を衝かれ、どうしようもなく愛しさが募った。