――処女キラーで有名だよ、あの人。

「あまり、派手に遊びすぎない方がいいんじゃないですか?」

どうしてこんな人とセックスできるなんて思ったんだろう。
思うそばから動悸は収まっていき、落ち着いて席を立てた。


「……それは、脅迫のつもりか?」

追いかけてきた忌々し気な声へ「いえ、まさか」と首を振り、

「ただ、もう噂が流れてることだけ、お伝えしたかったんです」
では失礼します、とドアを開ける。

よし言ってやった……ホッと一瞬、気が緩んだんだろう。


「っタ……!」

目の前にそびえる壁に、べちゃって顔面からぶつかっちゃった。

いやいや、ドアを開けたのに、壁があるわけない。

壁、だと思ったのは……人だった。
視線を上げていき、それがさっきここまで案内してくれたADさんだと知る。

ごめんなさい、って謝ろうと口を開けた、次の瞬間。



ドンッ




鳩尾に、痛みが走った。