ナースさんも決められた時間ごとに様子を見に来てくれるだけだし、やっぱり残ってよかった、とは思う。

ただ……
一緒にいても、こっちにできることなんて声をかけて励ますとか、背中や腰をさすることくらいなんだよね。
ほんとにポンコツだな、ってさっきからずっと打ちのめされてる。


結局、あの事務員さんの言葉は当たってた。

出産はただただママが一人で耐えて、頑張るしかない。
周りは何もできないんだ。

奈央さんは心強いって言ってくれるけど、とんでもない。

何かできるかも、なんて思いあがりだ。
さっきの自分を蹴っ飛ばしてやりたいくらい。

わたし……何も知らなかったんだな。

ねぇジェイ、
呆れちゃうよね。


吐息交じりに独り言ちて、あとはひたすら、苦しそうに丸まった背中をさすり続ける。

頑張って奈央さん。
頑張って赤ちゃん。
どうか無事に出てきてくれますように――!



コンコン


あれ……ノックの音!
もしかして、拓巳さんが着いたのかな!?

2人して、パッと期待の目をドアへ向けた。