ジャングルジム、滑り台、鉄棒、噴水……

都会のオアシスを狙ったらしいそこに、遊んでる子はいない。
時間帯のせいかな、寂れてるって言ってもいいくらい静か。

一人になりたい今みたいな時にはぴったりだな、とありがたく思いつつ、ベンチに腰を下ろした。

どんよりと曇ったまま、曖昧に夜へ移ろうとしている空をぼんやりと仰ぐ。


――そもそもさ、そのスキャンダル、本当にデマなのか?


ジェイってば、ひどいよ。
あの言い方じゃまるで……

まるでお母さんがホントに不倫してたみたいじゃない。

ついカッとして、突き飛ばしちゃった。

それから逃げ出して……
途中まで彼が追いかけてきたことはわかってるけど、いつの間にか姿が見えなくなってたから、諦めたらしい。


「お母さんは、嘘なんてつかないんだから……」


大丈夫よ、振り出しに戻るだけ。
わたしは一人で大丈夫だもの。

そもそも、今のわたしに必要なのは恋人じゃない。
恋愛じゃない。
わたしには、やらなきゃいけないことがある。

だから、こうしてサヨナラできて……結局これでよかったんだ。

わたしは、間違ってない。

そうでしょう?

そう、思うのに……どうしてだろう。
今日の空みたいに、鉛色のモヤモヤが胸に溜まってるように感じるのは。